
「子どもが風邪をひいたあと、急に耳を痛がって泣き出した……」そんなとき、「もしかして中耳炎?」と心配になる親御さんはとても多いかもしれません。
今回は、「中耳炎はどうやって治すの?」「自然に治るって本当?」「抗生物質はすぐに飲むべき?」といった、治療に関する疑問にわかりやすくお答えします。
目次
■中耳炎は自然に治る?すぐに薬は必要?
「中耳炎=すぐに抗生物質(抗菌薬)を飲まないと治らない」と思っている方は多いかもしれません。しかし、最近の医療現場では考え方が少しずつ変わってきています。
◎実は数日で痛みが軽くなることも多い
子どもの急性中耳炎は、風邪がきっかけで起こり、そこに細菌が関わることもありますが、2〜3日たつと自分の免疫力で痛みや発熱が軽くなることが多い病気です。
そのため、「耳が痛い」からといって、必ずしも最初から強いお薬が必要なわけではありません。まずは痛みを取り除きながら、少し様子を見る(経過観察する)ことも立派な治療法のひとつです。
ただし、症状が強い場合や、数日経っても改善しない・悪化する場合は、抗菌薬などの治療が必要になります。
◎抗菌薬(抗生物質)を使う基準は?
日本のガイドラインや海外の基準では、症状の重さや年齢によって薬の使い分けを行っています。
まずは「様子を見る(経過観察)」ケース
症状が軽く、熱も高くない場合です。痛み止めなどを使いながら2〜3日様子を見ます。多くのケースでは、これだけで症状が落ち着いていきます。
最初から抗菌薬を使うケース
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耳の痛みがとても激しい
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高熱が続いている
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耳だれ(耳から膿などの液体が出てくること)が出ている
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低年齢(特に2歳未満)
では重症化しやすいため、医師が必要と判断した場合は早めに抗菌薬を処方します。
「様子を見ましょう」と医師に言われたときは少し不安になるかもしれません。これは「不必要なお薬を使って、本当に薬が必要なときに効かなくなる(耐性菌ができる)のを防ぐ」という大切な意味があります。
■痛みが強いときの家庭でのケアと受診の目安
夜中や休日に突然耳を痛がると、焦ってしまいますよね。クリニックを受診するまでに家庭でできるケアと、早めに受診すべきサインを知っておきましょう。
◎まずは痛み止めでつらさを和らげよう
中耳炎のつらさの大部分は「耳の痛み」です。痛みが強いときは、お手持ちの小児用の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を使ってあげてください。
「熱を下げる」だけでなく「痛みを和らげる」効果があるので、お子さんがぐっすり眠れるようになるでしょう。
家庭でのケアは痛み止めを使うことが基本ですが、耳の周りを冷やしたタオルなどで軽く冷やすと痛みが少し和らぐこともあります。嫌がらない範囲で、お子様が一番楽になる方法を試してあげてください。
◎こんな症状が出たら早めにクリニックへ!
以下のようなサインが見られたら、ただの風邪や軽い中耳炎ではない可能性があるため、早めに受診するようにしましょう。
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痛みがどんどん強くなっている、または3日以上続いている
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39度以上の高熱が下がらない
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耳からドロッとした汁(耳だれ)が出てきた
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水分がとれず、ぐったりしている
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何度も嘔吐してしまう
【まれですが、緊急受診が必要な重症サイン】
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耳の後ろ(ぽっこり出ている骨の部分)が腫れて赤くなっている、押すと強く痛がる、耳が前に押し出されている
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ふらつき、けいれん、意識がぼんやりしている、強い頭痛、首が硬くなっている
これらは中耳炎が周囲に進行してしまった合併症の可能性があるため、見逃さずに早急に受診してください。
■治りきらない「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」に注意
「痛みがなくなったから、もう中耳炎は治った!」と自己判断で通院をやめてしまうのは、少し危険です。
◎急性中耳炎のあとに起こりやすい
激しい痛みや熱を伴う「急性中耳炎」の症状がおさまったあと、耳の奥(中耳)に液体が溜まったままになることがあります。
これを「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」と呼びます。痛みや熱はないため、親御さんからは治ったように見えてしまうのが厄介なところです。
◎聞こえにくさのサインを見逃さないで
液体が溜まっていると、耳に栓をしたような状態になり、音が聞こえにくくなります。
多くは時間が経つと自然に改善しますが、「テレビの音を大きくするようになった」「呼んでも振り向かないことが多い」「言葉の発音が不明瞭になった」などのサインが長く続く場合は要注意です。
長引く場合は治療が必要になることもあるため、医師から「もう大丈夫ですよ」と言われるまでは、しっかり通院を続けましょう。
■中耳炎を繰り返さないためにできること(再発予防)
子どもは耳の構造上、どうしても中耳炎になりやすいのですが、少しでもかかりにくくするための日々の工夫があります。
◎鼻水をこまめに吸ってあげる
中耳炎の主な原因は、鼻の奥にいる細菌やウイルスが耳へ流れ込むことです。そのため、「鼻水をためないこと」が一番の予防になります。
鼻をかめる子はこまめにかませ、かめない小さな赤ちゃんは、市販の鼻水吸引器などを使って優しく吸い取ってあげましょう。クリニックで鼻の処置を受けるだけでも効果的です。
◎風邪の予防とワクチンの活用
風邪をひかないことが中耳炎予防の第一歩です。手洗い・うがいなどの基本的な対策に加え、ワクチンの接種も有効です。
例えば、小児用肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による中耳炎やその重症化のリスクを減らすことが期待できます。
また、インフルエンザワクチンはインフルエンザの罹患を減らし、その合併症として起こる中耳炎を減らすことができる可能性があります。スケジュール通りに予防接種を進めていきましょう。
■中耳炎は「あせらず、でもしっかり」治すのがコツです
子どもの中耳炎は、数日で痛みが和らぐことも多い病気ですが、痛みのケアや「どのタイミングでお薬を使うか」、そして「重症のサインを見逃さないこと」が重要です。
「ただの風邪かな?」「様子を見ていいのかな?」と迷ったときは、いつでもお気軽にご相談ください。
