
3月から4月後半にかけて、本格的な花粉症シーズンがやってきます。花粉症そのものが、高血圧の直接的な原因になるとまでは言い切れません。
しかし、春は花粉症による「鼻づまり」や「睡眠不足」、「ストレス」、そして「飲んでいるお薬の影響」などがいくつも重なり、血圧が上がったように感じたり、実際に血圧が上がってしまうケースが考えられます。
今回は、花粉症と血圧の意外な関係や、春の体調管理で気をつけていただきたいポイントをわかりやすく解説します。
目次
■春になると血圧が上がるって本当?季節と血圧の意外な関係
春に血圧が高くなると感じる方は少なくありませんが、血圧には季節による基本的なリズムが存在します。季節の移り変わりと血圧の関係について見ていきましょう。
◎血圧が一番高くなりやすいのは実は「冬」
一般的に、血圧は「冬に高く、夏に低くなる」という傾向があります。寒さを感じると、体は熱を逃がさないように血管を縮めるため、血圧が上がりやすくなるのです。
反対に、暖かくなると血管は広がりやすくなるため、春は冬に比べると血圧が少しずつ落ち着きやすい季節といえます。
◎なぜ春に血圧が高く感じる人がいるのか?
「必ず春に血圧が上がる」というわけではありませんが、春は朝晩と日中の寒暖差が大きく、新生活などで生活環境も変わりやすい季節です。そのため、ちょっとした寒暖差や体調の変化で血圧がぶれやすくなります。
そこに「花粉症」という春ならではの厄介な要素が加わることで、血圧に影響が出やすくなってしまうのです。
■花粉症で血圧が上がることはある?知っておきたい3つの理由
花粉症の代表的な症状といえば、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。こうしたアレルギー症状が、どのようにして血圧に関わってくるのでしょうか。
①鼻づまりによる「睡眠不足」が血圧を下げにくくする
血圧に影響しやすいのが「鼻づまり」です。アレルギー性鼻炎は夜寝ている間に鼻づまりが悪化しやすく、息苦しくて寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりと、睡眠の質が大きく下がってしまいます。
中等症から重症の花粉症の方では、半数の方が睡眠障害を感じ、4人に1人が日中の眠気を感じているという報告もあるほどです。
※本間 あや|アレルギー性鼻炎と睡眠
健康な状態であれば、血圧は眠っている間に自然と低くなります。しかし、睡眠不足の状態が続くと、本来下がるはずの夜間の血圧が高止まりしやすくなってしまいます。
厚生労働省でも、慢性的な睡眠不足は高血圧のリスクを高めると注意を呼びかけています。
②つらい症状がもたらす「ストレス」で一時的に血圧が上がる
一日中鼻水が止まらなかったり、目のかゆみが続いたりすると、どうしてもイライラしてしまいますよね。この花粉症のつらさによる「ストレス」も無視できません。
人は強いストレスを感じると、体の中でアドレナリンなどの物質が分泌されます。すると体が興奮状態になり、血管が収縮して心拍数が増えるため、ストレスによって一時的に血圧が上がることがあります。
③飲んでいる「花粉症の薬」が血圧を上げているケース
花粉症の治療薬すべてが血圧に影響するわけではありません。とくに注意したいのは、鼻づまりを改善するための血管収縮成分(プソイドエフェドリンなど)を含む一部の飲み薬です。
こうした薬は鼻の粘膜の血管を縮めて鼻づまりを改善しますが、同時に全身の血管も作用し、血圧の上昇や心拍数の増加につながることがあります。
そのため、重症の高血圧の方には使用できなかったり、治療中の方でも血圧が上がる恐れがあるため、担当の医師とよく相談することが大切です。
■血圧を上げずに花粉シーズンを乗り切るための対策
春は血圧がぶれやすいからこそ、花粉症の症状をしっかり抑えつつ、体への負担を減らす治療や工夫が大切です。
◎薬の選び方や使い方を工夫してみよう
鼻づまりが強くてつらい場合は、飲み薬だけでなく、鼻噴霧用ステロイド(点鼻薬)を上手に取り入れる治療がよく行われます。
鼻に直接シュッと吹きかけるタイプのお薬は、飲み薬に比べて全身の血圧への影響が出にくく、花粉症治療として推奨されています。
ドラッグストアなどで買える市販の「血管を収縮させるタイプの点鼻薬」は、すぐに鼻が通って便利ですが、使い方には注意が必要です。
3〜4日以上連続して使い続けると、「リバウンド性鼻炎」といって、かえって鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが悪化してしまうことも。自己判断で長く使い続けないようにしましょう。
◎まずは基本!花粉を「吸い込まない・持ち込まない」
お薬による治療(薬物療法)と並行して、ご自身でできる対策もとても重要です。
外出時にはマスクやメガネを着用して花粉を吸い込まないようにする、家に帰る前に玄関で服についた花粉をしっかり払い落とすなど、生活環境に花粉を持ち込まない工夫を徹底しましょう。
■「血圧が高いかも?」と思ったら家庭血圧の記録を始めましょう
「血圧も高い気がする」と感じたら、まずはご自宅で血圧を記録してみましょう。朝起きた後と夜寝る前に、できるだけ同じ条件で測定し、5〜7日ほど続けて平均をみることが大切です。
診察室では分かりにくい日々の変動を把握したり、治療方針を考えるうえでも大きな参考になります。
ご自宅での血圧の目安としては、「上の血圧が130、下の血圧が80未満(130/80mmHg未満)」がひとつの目標です。
■血圧が不安なときは無理せずご相談を
春は、花粉症の悪化による睡眠不足・ストレス・お薬の影響が重なって、血圧が上がったように感じやすい季節です。
もし、ご自宅で血圧を何日か測ってみて「いつもより高い状態が続いている」と気がついたり、花粉症の鼻づまりで夜眠れない日が続いているなら、一人で我慢せずにクリニックへご相談ください。
血圧に影響しにくいお薬への変更や、症状に合わせた治療法を一緒に見つけていきましょう。
