
年末年始や歓送迎会など、冬から春はお酒を飲む機会が増える季節です。しかし、楽しい時間の代償として翌朝のひどい頭痛に悩まされることも少なくありません。
今回はアルコールによる頭痛の原因と正しい治し方、そして意外と知らない頭痛薬の注意点について詳しく解説します。
■冬にお酒を飲むと頭痛?主な原因は「血管」と「脱水」
冬の飲酒による頭痛の主な犯人は、アルコール分解時に発生する「アセトアルデヒド」と「脱水」です。アセトアルデヒドという物質には血管を広げる作用があり、拡張した血管が頭の神経を圧迫することで、ドクンドクンという拍動性の痛みが生まれます。
さらに、冬は空気が乾燥しているうえにアルコールの利尿作用が働くため、身体は想像以上に水分不足に陥ります。脱水で血液がドロドロになると脳への血流も悪くなり、痛みに拍車をかけてしまうことがあるのです。
■今すぐ治したい!お酒による頭痛の治し方と対処法
つらい二日酔いの頭痛も、メカニズムに合わせた対処をすることで症状を和らげる効果が期待できます。
◎まずは水分と糖分を補給!体からアルコールを追い出そう
起床時に頭痛がある場合、まずは水分補給が最優先です。真水よりも体液に近いスポーツドリンクや経口補水液を飲むと、効率よく身体に吸収されます。
同時に意識したいのが「糖分」です。肝臓がアルコール分解に集中すると、身体は一時的に「低血糖」状態になり、これが頭痛やだるさの原因になります。すぐに吸収されるブドウ糖を含むラムネ菓子や果物を摂り、脳にエネルギーを送りましょう。
◎ズキズキ痛むなら「冷やす」、重だるいなら「温める」
頭痛のタイプによってケアを変えることで、痛みにアプローチします。脈打つようにズキズキ痛む場合は、血管が広がりすぎているため、冷たいタオルなどで頭を「冷やす」と痛みが和らぐことがあります。このタイプで入浴して温めると、逆効果になることがあるため、注意が必要です。
逆に、頭が締め付けられるように重だるい場合は、筋肉の緊張が原因の可能性があります。このときは首元を「温める」と血行が良くなり楽になりやすいです。
■頭痛薬は飲んでも平気?薬を使うタイミングと注意点
痛みがひどいと薬に頼りたくなりますが、アルコールが残っている状態での服用にはリスクが伴うことも。
◎「お酒と一緒に飲む」のはやめましょう!胃や肝臓への負担
お酒を飲んでいる最中や、酔いが残っている状態で頭痛薬を飲むのは避けてください。鎮痛薬の成分とアルコールはどちらも肝臓で分解されるため、同時に摂ると肝臓に過剰な負担がかかりやすくなってしまいます。
副作用が出やすくなったり、胃粘膜が荒れて胃痛を引き起こしたりする危険性があります。薬はお酒が完全に抜けてから飲むのが鉄則です。
◎翌日の頭痛に薬を使うなら「胃に優しい成分」を選ぼう
お酒が抜けても頭痛が続く場合に限り、鎮痛薬の使用を検討しましょう。ただし二日酔いの胃はデリケートです。市販薬を選ぶ際は、胃粘膜を保護する成分入りのものや、胃への負担が少ないタイプを選んでください。
迷った場合は薬剤師に「二日酔いのあとに使いたい」と相談することをおすすめします。
■楽しいお酒にするために。頭痛の予防策と危険なサイン
頭痛を防ぐための飲み方のコツと、見逃してはいけない危険なサインについてお伝えします。
◎飲み会中にできる「和らぎ水(チェイサー)」とおつまみの工夫
予防策は、お酒と同量の水「和らぎ水(チェイサー)」を飲むことです。体内のアルコール濃度の上昇を抑え、脱水を防ぐことで翌日のダメージ予防につながります。
また、空腹での飲酒はアルコールの吸収を早めます。お酒の分解を助けるタンパク質(枝豆や豆腐など)を含むおつまみを食べながら、ゆっくり楽しむことが大切です。
◎いつもと違う頭痛はペインクリニックや専門医へ
通常は時間とともに治まりますが、「今まで経験したことのない激痛」や「呂律が回らない」といった症状は、脳卒中などの命に関わる病気の可能性があります。その場合は迷わず救急受診してください。
また、たびたび激しい頭痛に襲われる場合は、片頭痛などの治療が必要なケースもあります。我慢せずペインクリニックや専門医にご相談ください。
■冬の頭痛対策を万全にして、お酒と上手に付き合おう
冬の美味しいお酒を楽しむためにも、頭痛の原因である「脱水」と「血管拡張」への対策も忘れずに行いましょう。水分と糖分の補給、そして状況に応じた温度調節が鍵です。薬は慎重に扱い、痛みを我慢せずご相談ください。
正しい知識で、冬のイベントシーズンを健康的に乗り切りましょう。
