なぜ風邪を引きやすい子がいるのか? 免疫や生活習慣の影響を解説|うえの台いたみと内科のクリニック|富木島町の内科・ペインクリニック

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なぜ風邪を引きやすい子がいるのか? 免疫や生活習慣の影響を解説


「クラスのみんなは元気なのに、どうしてうちの子だけ毎月熱を出すの?」

「同じように生活している兄弟でも、上の子は丈夫なのに下の子はすぐ風邪をひく……」


「風邪をひきやすい人」と「ひきにくい人」の差は、単なる生まれつきの体質や運だけではありません。そこには、ウイルスに対する体の「バリア機能」の状態や、毎日のちょっとした生活習慣の違いが大きく関係しているのです。


今回は、なぜ風邪をひきやすくなるのか、わかりやすく解説します。理由を知れば、漠然とした不安は「対策」へと変わるはずです。


■風邪をひきやすい子・ひきにくい子の決定的な違いとは


同じ教室にいても、毎月熱を出す子と一年中元気な子がいます。この差は単なる体質だけではありません。ウイルスの侵入を防ぐ「バリア機能」の状態や、毎日の少しした生活習慣の違いが影響しているのです。


◎生まれつきの体質?それとも環境?繰り返す風邪

もちろん喘息などの体質も関係しますが、多くの場合は「ウイルスに出会う頻度」と「それを跳ね返す力」のバランスで決まります。


風邪をひきやすいということは、外から来たウイルスが体の防御壁を突破した証拠です。生まれ持った体質だけでなく、その時の環境や習慣がガードを下げてしまっているかもしれません。


◎そもそもなぜ風邪をひくのか

風邪は、ウイルスが口や鼻から体内に侵入し、増殖することで起こります。


通常、のどや鼻の粘膜にある「線毛(せんもう)」というブラシのような機能がウイルスを外へ追い出しています。しかし、乾燥や疲れでこの動きが鈍くなると、ウイルスに侵入を許してしまうことがあるのです。


風邪をひきやすい状態とは、この入り口の守りが手薄になっている状態と言えます。


■風邪を「ひきやすい子」の3つの特徴


すぐ体調を崩す子には、医学的に説明できるいくつかの共通点があります。


1. 年齢と免疫の経験値(免疫はまだ「学習中」)

最大の理由は「年齢」です。大人は過去の風邪の経験からウイルスのデータを体に記憶していますが、子供の免疫システムはまだ真っ白な状態です。


初めて出会うウイルスばかりなので、毎回しっかりと感染し、熱を出して戦う必要があります。風邪をひきやすいのは体が弱いからではなく、免疫がウイルスとの戦い方を学習している最中だからです。


2. 口呼吸になっている(のど・鼻のバリア機能低下)

意外と多いのが「口呼吸」の影響です。鼻呼吸は天然のフィルター機能でウイルスの多くをブロックし、加湿もしてくれますが、口呼吸は乾燥した空気を直接のどに送り込みます。これによりのどの粘膜が乾燥して傷つき、防御機能がガクンと落ちてしまいます。


口がポカンと開いている子は、ウイルスに対して無防備な状態になりやすいのです。


3. 集団生活での「接触頻度」の違い

保育園や幼稚園に通う子が風邪をひき続けるのは、単純にウイルスとの接触回数が激増するからです。


おもちゃの共有や密着した遊びの中で、次々と新しいウイルスをもらってきます。これは社会性が育つ過程で避けることは難しいですよね。しかし、自宅で過ごす子に比べて圧倒的に「敵」に出会う回数が多いのが現実です。


■風邪を「ひきにくい人」が実践している生活習慣


風邪をひきにくい人は、無意識のうちにウイルスを体に入れない、あるいは入ってもすぐに撃退する習慣を身につけています。


◎ウイルスを物理的に洗い流す「手洗い・うがい」の精度

風邪に強い人は手洗いの質が違います。水で濡らすだけでなく、石鹸で指先や爪の間まで洗い、物理的にウイルスを落としています。また、こまめな水分補給も重要です。


のどを潤して粘膜を守るだけではありません。付着したウイルスを胃に流し込んで胃酸で無力化するという効果も期待できるからです。


◎免疫細胞の7割は腸にいる?「腸内環境」と食事

実は免疫細胞の約7割は腸内に存在します。つまり、腸内環境を整えることは、体の防御力を底上げすることに直結するのです。


風邪をひきにくい人は、野菜や発酵食品などで腸内の善玉菌を大切に育てています。好き嫌いを減らしてお腹の調子を整えることが、結果的に最強の風邪対策になるのです。


◎身体の修復タイムを確保する「睡眠時間」と質

睡眠は、傷ついた細胞を修復し、免疫システムをメンテナンスする大切な時間です。睡眠不足が続くとこの修復が追いつかず、防御力が低下してしまいます。


風邪をひきにくい子は夜更かしをせず、十分な睡眠をとることで、翌日ウイルスと戦うための基礎体力をしっかりと回復させています。


■子どもが風邪をひきやすくなる時期


一年中同じように過ごしていても、どうしても防御力が下がりやすい「時期」があります。


◎「乾燥」と「寒さ」がウイルスを元気にしてしまう理由

冬に風邪が流行するのは、ウイルスが低温乾燥を好む一方で、人間の防御機能が弱まるからです。空気が乾燥すると、のどや鼻の「線毛」の動きが鈍くなり、異物を排出できなくなります。


◎季節の変わり目や新学期などの「ストレス・疲れ」

春先や秋口などの季節の変わり目は、体温調節のために自律神経が疲れ、免疫力が下がりがちです。また、新学期やクラス替えなどの環境変化によるストレスも大敵です。


■風邪をひくのは成長の証。焦らず「強い体」を育てていこう


子どもが風邪をひきやすいのは、免疫の学習期間であり、ある程度は仕方のないことです。親御さんは自分を責める必要はありません。


手洗いや睡眠、腸内環境といった毎日の小さな習慣を見直すことで、体はどんどん強くなっていきます。焦らず長い目で、お子さんの免疫の成長を見守っていきましょう。


お子様の風邪が長引く、繰り返すなど、少しでも不安なことがあれば、お気軽に当院へご相談ください。



うえの台いたみと内科のクリニック
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