
風邪をひいたあとに、子どもが急に耳を痛がったり、熱がぶり返したりすることはありませんか。子どもの急性中耳炎の多くは風邪がきっかけです。鼻水や咳が続いているときに耳のトラブルが起きやすいのは、体の構造に理由があります。
なぜ風邪から耳に影響が出るのか、その原因と見逃したくない症状のサインについて、大人との違いも交えながら解説します。
■「風邪をひくと中耳炎になる」のはなぜ?
風邪は鼻やのどの炎症ですが、なぜ離れた場所にある「耳」が痛くなるのでしょうか。答えは顔の内側の構造にあります。
耳と鼻は、見えないトンネルで直接つながっています。風邪で鼻やのどに炎症が起きると、ウイルスや細菌がそのトンネルを通って耳の奥へ侵入してしまうことがあるのです。これが、風邪のあとに中耳炎が起こる仕組みです。
◎鼻と耳はつながっている! ウイルスや細菌の侵入ルート
耳の奥にある「中耳(ちゅうじ)」と鼻の奥をつなぐ管を「耳管(じかん)」と呼びます。普段は中耳の気圧調整などをしていますが、風邪で鼻の奥にウイルスや細菌が増えると、この管が感染の通り道になってしまいます。
鼻を強くすすったりすると、鼻水に含まれる病原体が耳管を通って中耳へ押し込まれやすくなり、そこで炎症を起こして膿がたまることで急性中耳炎を発症するのです。
◎子どもと大人の「耳管(じかん)」の違いに原因がある
「なぜ子供ばかりが中耳炎になるの?」と不思議に思うかもしれません。大きな理由は、大人と子どもで耳管の形状が異なるからです。
大人の耳管は細長く角度がありますが、子供の耳管は太くて短く、しかも水平に近い角度をしています。
そのため、鼻の奥のウイルスや細菌が容易に耳まで到達できてしまうのです。成長とともに耳管は細長くなり角度がつくため、年齢が上がると中耳炎にかかる頻度は自然と減っていきます。
■見逃さないで! 子どもが出す中耳炎の「症状」とサイン
言葉で痛みを伝えられない小さな子どもの場合、気づくのが遅れてしまうことがあります。風邪の症状があるときに普段と違う様子が見られたら、早めの受診が重症化を防ぐポイントになります。
◎「耳が痛い」と言えない赤ちゃん・幼児の特有のしぐさ
言葉を話せない小さな子どもは、痛みや違和感を行動で示します。頻繁に耳を触る、引っ張る、激しく首を振る、布団に耳をこすりつけるといったしぐさは代表的なサインです。
また、痛みで不機嫌になり、抱っこしても泣き止まない、夜中に突然泣き出すといった様子も、耳の痛みを訴えている可能性があります。いつもより機嫌が悪く、耳を気にするそぶりがあれば中耳炎を疑ってみてください。
◎発熱や耳だれだけじゃない? 注意したい様子の変化
わかりやすい症状は発熱や、耳から膿が出る「耳だれ」ですが、風邪の熱が一度下がった後の再発熱も要注意です。
中耳に膿がたまると音が聞こえにくくなるため、テレビの音量をいつもより大きくしたり、呼びかけへの反応が鈍くなったりすることで気づくケースもあります。発熱や痛みだけでなく、「聞こえ」の変化にも注意を払いましょう。
■中耳炎を引き起こす主な「原因」と環境
中耳炎の直接の原因は細菌やウイルスですが、それらが耳に侵入しやすい環境も関係しています。リスクを知っておくことは予防や早期発見の助けになります。
◎風邪のウイルスと細菌、どっちが悪さをするの?
急性中耳炎の原因菌は肺炎球菌などが主ですが、きっかけを作るのは風邪のウイルスです。
ウイルスで鼻やのどの粘膜が荒れ、免疫力が落ちた状態のところに細菌が二次感染し、耳へ移動して中耳炎を起こします。つまり、風邪をひいたときに鼻水をため込まずに適切に処理することが、結果として細菌の増殖や侵入を防ぐことにつながります。
◎保育園や幼稚園など、集団生活で気をつけるポイント
集団生活では風邪をもらいやすく、免疫が未熟な子供は中耳炎を繰り返してしまうことがあります。これは免疫を獲得していく成長の過程でもありますが、注意が必要です。鼻水が出ているときはこまめに吸引や鼻かみをして、鼻の中を清潔に保つケアを心がけましょう。
■「大人」も油断大敵? 風邪からくる中耳炎
中耳炎は子どもの病気と思われがちですが、大人でも条件が重なれば発症することがあります。子どもの頃になりやすかった人はもちろん、普段耳のトラブルがない人でも、重い風邪などがきっかけになります。
◎大人は「鼻のかみすぎ」がきっかけになりやすい
大人の急性中耳炎は、風邪による鼻づまりの際に、無理に強く鼻をかんでしまうことが原因になりやすいです。
強い圧力がかかると、細菌を含んだ鼻水が中耳に送り込まれてしまいます。また、疲労やストレスで免疫力が低下しているときにも発症しやすいため、油断はできません。
◎激しい痛みや難聴など、大人特有の症状
大人が発症すると、子ども以上に強い痛みを感じることがあります。「耳の奥が突き刺されるように痛い」という激痛に加え、耳が詰まった閉塞感や、自分の声が響くといった症状を伴うことが多いです。
痛みを我慢していると難聴が残るリスクもあるため、風邪のあとに耳の違和感を感じたら、早めに耳鼻科を受診しましょう。
■風邪が長引くときは耳の不調も疑ってみよう
子どもは体の構造上、鼻風邪が耳のトラブルにつながりやすい傾向があります。「熱が下がらない」「機嫌が悪い」「耳を気にする」といったサインを見逃さず、風邪症状が長引いているときは耳の状態も疑ってみてください。
早期に気づいて適切な治療を受けることが、子供の耳を守ることにつながります。気になる症状があれば、放置せず気軽にご相談ください。
