熱性けいれんが5分以上続く場合の救急車を呼ぶ判断基準とは|うえの台いたみと内科のクリニック|富木島町の内科・ペインクリニック

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熱性けいれんが5分以上続く場合の救急車を呼ぶ判断基準とは

熱性けいれんが5分以上続く場合の救急車を呼ぶ判断基準とは

深夜、発熱後のけいれんに直面したときに


38度台の熱が出たあと、急に体が硬くなってガクガクと震え出す。頭が真っ白になって当然の場面です。この記事では、119番をためらわなくてよい持続時間や症状の目安、その場でできる時間の測り方、避けたい対応、そして医師へ伝える観察点を順に整理します。判断に迷ったら、通報をためらわなくて構いません。


この記事の要点まとめ


  • けいれんが5分以上続く場合や意識が戻らない際は、救急要請を検討する目安となります。
  • 発作時は口に物を入れず横向きに寝かせ、経過時間や様子を記録することが推奨されます。
  • 発作後は意識や全身の状態を観察し、必要に応じて相談窓口や小児科への受診につなげます。

救急車を呼ぶべきサインと5分の数え方

救急車を呼ぶべきサインと5分の数え方

「5分」という基準が意味すること


熱性けいれんは生後6か月から5歳ごろの乳幼児に起きやすく、多くは数分以内で自然におさまるとされています1。世界各国の診療指針を比較した報告でも、けいれんが5分以上続く場合には医療的な介入を検討する、という流れが共通して示されています2。時間が延びるほど自然に止まりにくくなる傾向があるため、この5分という線引きは「危ないかどうか」ではなく「医療につなぐ段階かどうか」の目安と考えてください。発作が5分以上続く場合は、医療機関への相談や救急要請を検討する目安になります。


パニック状態でもできる時間の測り方


パニック状態では秒針を追うことが難しい場合もあります。現実的なのは、気づいた瞬間にスマートフォンのストップウォッチを起動するか、動画の録画を始めてしまう方法です。録画なら開始時刻が自動で残り、あとから何分何秒だったかを正確にたどれます。手が離せないときは「1、2、3……」と声に出して数えるだけでも、体感時間とのズレを防ぐ助けになります。実際の時間より長く感じられることもあるため、記録を活用する方法があります。


意識が戻らない・左右非対称など今すぐ受診すべき随伴症状


5分未満でも、次のような様子があれば早めの救急要請を検討します32。


  • 手足の動き方が左右で明らかに違う、顔や視線が一方向に偏ったままになる
  • けいれんが止まっても呼びかけに反応せず、意識がはっきりしない
  • 短時間のうちに繰り返す、1日のうちに2回以上起きる
  • 生後6か月未満、または5〜6歳を超えてから初めて起きた
  • 顔色が悪い、唇が紫がかる、嘔吐を繰り返す

こうした特徴を伴うものは複雑型として扱われ、急性脳症など別の原因がないかを医療機関で確認する対象になります4。


発作中に絶対に避けたい行動と正しい応急対応

発作中に絶対に避けたい行動と正しい応急対応

口に指やタオルを入れる・体を押さえつけるといったNG行動


「舌を噛まないように口へ物を入れる」という対応は、かつて広く伝えられていましたが、現在の応急対応では行いません5。詰め物が気道をふさいだり、歯や口の中を傷つけたり、介助する大人の指が負傷することがあるためです。同じ理由で、体を強く押さえつける、肩を揺さぶる、大声で名前を呼び続けるといった対応も控えます。けいれん中は水分や薬を飲ませることもできません。この数分間にできるのは、止めることではなく、安全を確保しながら観察することです。


嘔吐や窒息を防ぐ横向きの体位のとり方


まわりの硬い物やぶつかりそうな家具を片付け、平らな場所へ静かに寝かせます。顔を横に向け、体全体も横向き(回復体位)にすると、唾液や吐いたものが口の外へ流れやすくなります1。首元のボタンやおむつ、きつい衣類はゆるめ、呼吸のしやすさを確保してください。抱き上げて揺らすより、床や布団の上で横向きにしたまま見守るほうが安全です。


後で医師に見せるための動画撮影のポイント


記録が残っていると、受診時の説明が一気に具体的になります。撮るときは全身が入る角度で、顔の向きと手足の動きの両方が映るようにしてください。左右差の有無は言葉で説明しづらく、映像がそのまま判断材料になります。発作の様子をできるだけ長く記録できると、受診時の判断材料になります。ただし、体位の確保や通報が優先で、撮影のために対応が遅れないようにしてください。


救急車を呼ぶか迷ったときの相談窓口の使い方


子ども医療電話相談「#8000」に相談できること


小児の急な体調変化について、看護師や医師から電話で助言を受けられる公的な窓口が「#8000」です。夜間や休日に、いま受診したほうがよいのか、朝まで様子を見てよいのかを相談できます。けいれんがすでにおさまり、呼びかけに反応して普段の様子に戻っているときなど、緊急性の判断に迷う場面で使いやすい窓口です。受付時間は都道府県ごとに異なるため、お住まいの地域の案内を事前に確認しておくと確実です。


救急安心センター「#7119」との違いと使い分け


「#7119」は小児に限らず、成人も含めて救急車を呼ぶべきかどうかの緊急度を相談できる窓口です3。症状を伝えると、救急要請が必要か、受診できる医療機関はどこかといった案内を受けられます。実施している地域が限られる点は#8000と異なります。5分以上続くけいれんや意識が戻らない状態では、相談より先に119番です。


東海市で夜間に頼れる相談先を事前に控えておく


実際に起きてから調べ始めると、検索している数分がとても長く感じられます。東海市にお住まいなら、市や愛知県が案内する小児救急の情報、近隣の夜間急病センターの場所を、落ち着いているうちにメモして冷蔵庫や玄関に貼っておくことをおすすめします。当院でも、発熱のある方は来院前にお電話でご連絡いただくようご案内しています。なお、夜間や休日の受診で生じる費用は医療機関によって異なり、本記事で触れる内容は一般的な目安であって当院の費用を示すものではありません。


けいれんがおさまった後の受診目安と伝えるべき観察ポイント


翌朝の通常受診でよい場合と夜間受診が必要な場合の分かれ目


数分以内におさまり、しばらくして目が合う・声に反応する・いつもの表情が戻っているなら、翌日の日中に小児科で相談する形でも差し支えないことが多いとされています4。一方、ぐったりして反応が鈍い、繰り返し吐く、初めてのけいれんである、生後6か月未満といった場合は、その夜のうちに医療機関へ連絡してください。判断の軸は熱の高さではなく、けいれん後の意識と全身の様子です。


医師へ伝えるべき観察項目の整理


受診時に次の点がそろっていると、診察の組み立てが早くなります5。


  • けいれんが始まった時刻と続いた時間
  • 手足の動きの左右差、目や顔の向き
  • 顔色や唇の色、嘔吐の有無
  • 発熱に気づいた時刻と体温
  • おさまった後、意識が戻るまでの時間と現在の様子
  • 過去のけいれん歴、家族に同様の経験がある方の有無

熱性けいれんとてんかんの違い、繰り返す場合の備え


熱性けいれんは発熱に伴って起きるもので、熱がないときに繰り返す発作であるてんかんとは区別して考えられます1。多くは年齢が上がるにつれて起きにくくなると報告されており4、必ずしも毎回薬が必要になるわけではありません。ジアゼパム坐剤(ダイアップ)などの予防的な使用は、経過や回数をふまえて医師が個別に判断します。残っている薬を自己判断で使うことは避け、次回に備えたい場合はかかりつけで相談してください。当院の院長は「治療法の選択については、患者様のご意向と推奨される方法を合わせて一緒に考える」という姿勢をお伝えしています。


よくある質問


Q. 救急車を呼んだあとにけいれんが止まったら、断ってもよいのでしょうか。

A. 到着までに落ち着くことは珍しくありません。その場合も状態の確認をしてもらう意味がありますので、まずは救急隊にそのまま経過を伝えてください。判断に迷ったことを気に病む必要はありません。


Q. 2分ほどで止まりましたが、それでも病院へ行くべきですか。

A. 初めてのけいれんであれば、原因を確認するために受診をご検討ください。以前にも同様の経験があり、意識がはっきりして普段どおりなら、翌日の日中の受診で相談する形でも差し支えないことが多いとされています。


Q. 解熱剤を使えばけいれんを防げますか。

A. 解熱剤で発熱そのものを下げても、熱性けいれんの発生を抑えられるという根拠は十分ではないとされています。つらそうなときの解熱剤は使って構いませんが、予防を目的とした使い方は医師にご相談ください。


Q. けいれん中に救急へ電話しながら、同時に何をすればよいですか。

A. 通話はスピーカーにして、子どもを横向きに寝かせ、衣類をゆるめ、周囲の物を片付けてください。開始時刻を覚えておくか、可能なら録画を始めておくと、その後の説明がしやすくなります。


Q. 一度起きると、また繰り返すものなのでしょうか。

A. 再び起きる方もいれば、一度きりで終わる方もいます。回数や年齢、経過によって備え方が変わるため、繰り返す場合はかかりつけの小児科で方針を相談しておくと安心です。


参考文献


1. 公益社団法人 日本小児科学会 https://www.jpeds.or.jp/

2. Corsello A, et al. Febrile Seizures: A Systematic Review of Different Guidelines. Pediatric Neurology. PMID: 38653182, DOI: 10.1016/j.pediatrneurol.2024.03.024

3. 一般社団法人 日本救急医学会 https://www.jaam.jp/

4. Leung JS. Febrile Seizures: An Updated Narrative Review for Pediatric Ambulatory Care Providers. Current Pediatric Reviews. PMID: 36043723, DOI: 10.2174/1573396318666220829121946

5. Ferretti A, et al. Best practices for the management of febrile seizures in children. Italian Journal of Pediatrics. PMID: 38735928, DOI: 10.1186/s13052-024-01666-1

6. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/


長﨑 宏則

医師


うえの台いたみと内科のクリニック

院長

長﨑 宏則

▶ 監修者プロフィール

経歴
藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)卒
藤田保健衛生大学 麻酔・周術期管理医学講座
大同病院 麻酔科部長を経て、2023年うえの台いたみと内科のクリニック開設
上記の他に、日本ペインクリニック学会指定研修施設、内科・小児科・皮膚科・ペインクリニック医院に非常勤医師として勤務
資格・所属学会
【資格】
日本専門医機構認定 麻酔科専門医
日本麻酔科学会認定 麻酔科指導医
厚生労働省 麻酔科標榜許可(麻酔科標榜医)
厚生労働省 緩和ケア研修修了医
日本臨床栄養代謝学会 TNT研修修了医
臨床研修指導医
【所属学会】
日本麻酔科学会
日本臨床麻酔学会
日本ペインクリニック学会
日本疼痛漢方研究会
日本臨床栄養代謝学会