
3ヶ月続く腰痛、「異常なし」と言われても不安なあなたへ
整形外科で「異常なし」と言われたのに、3ヶ月経っても腰の痛みが引かない。そんな不安を抱えていませんか。画像には映りにくい原因や神経の変化が関わっているケースもあります。この記事では、痛みが長引く仕組みや次に相談を検討したい診療科、注意しておきたいサインについて、東海市のうえの台いたみと内科のクリニックがわかりやすく解説します。
この記事の要点まとめ
- 腰痛の約8割は画像に映りにくい「非特異的腰痛」で、筋肉や神経感作が関与することがある
- 整形外科で改善しない場合、ペインクリニック内科へのご相談が選択肢のひとつとなる
- しびれの拡大や夜間痛など注意したいサインがある場合は、早めの医療機関への相談が勧められる
目次
- 画像検査で「異常なし」と言われるのはなぜ?3ヶ月続く腰痛の正体
- 最初の受診先で「異常なし」と言われた後の診療科ロードマップ
- 3ヶ月の節目でチェック!次の受診を検討したい「注意したいサイン」
- 慢性的な腰痛を和らげるセルフケアと注意したい行動
画像検査で「異常なし」と言われるのはなぜ?3ヶ月続く腰痛の正体

レントゲンやMRIで問題が見つからないのに痛みが続くと、「何か見落とされているのでは」と心配になりますよね。ところが、腰痛の約8割は画像所見だけでは原因を特定しにくい「非特異的腰痛」に分類されるといわれています。ここでは、画像に映らない痛みの背景を医学的に整理してみましょう。
レントゲンやMRIの画像に写りにくい「筋肉や神経」の痛み
レントゲンは主に骨の変形や骨折を、MRIは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった構造的な変化を捉えるのが得意です。一方で、筋肉の持続的な緊張(筋筋膜性疼痛)や、細い神経枝への刺激、血流障害による酸素不足などは画像に映りにくいのが実情です。長時間のデスクワークや育児動作の繰り返しで腰まわりの深部筋に負担がかかり続けると、こりや圧痛点(トリガーポイント)が生じ、鈍い痛みや重だるさとして残ることがあります。仙腸関節や椎間関節のように、動きの中で痛みを出す部位も、静止画像では捉えにくい特徴があります。「画像で異常なし=心配ない」と単純にはいえず、機能面からの評価も欠かせません。
痛みが長引くことで脳が過敏になる「神経感作」と慢性腰痛
痛みが3ヶ月以上続くと、痛みを伝える神経回路そのものに変化が起き、わずかな刺激でも強く痛みを感じやすくなることが分かっています。これを「神経感作(中枢性感作)」と呼びます1。本来は防御反応であるはずの痛みが、原因が落ち着いた後も脳と脊髄のレベルで「痛みの記憶」として残り続けるイメージです。加えて、不安や睡眠不足、仕事や家事のストレスといった心理・社会的要因も痛みを増幅させる要素として知られています(バイオサイコソーシャルモデル)。「気にしすぎ」ではなく、体の中で実際に起きている変化と捉えることが、次の一歩を選ぶうえで大切です。
最初の受診先で「異常なし」と言われた後の診療科ロードマップ

整形外科で構造的な変化が見つからなかったとき、次にどこへ相談すればよいのか迷う方は多いものです。ここでは、当院のようなペインクリニック内科の役割や、再受診・転院を考える目安、費用面のルールを整理していきます。
痛みの専門外来「ペインクリニック内科」を検討するメリット
ペインクリニック内科は、痛みそのものを治療対象とする診療科です。内服薬の調整に加え、神経ブロック注射、低周波やイオントフォレーゼによる消炎鎮痛など、多角的にアプローチできる点が特徴といえます。当院では、カイネタイザーやイオントフォレーゼ、超音波診断装置などを用いて、筋肉や神経の状態をリアルタイムに確認しながら治療方針を組み立てています。 「痛みの治療に関しては、内服による治療に加えて消炎鎮痛器具や神経ブロックを活用し、患者さまがいち早く日常生活を回復できるよう総合的な治療を提供いたします」と院長も方針を掲げています。
同じ病院を再受診すべき?他院へのセカンドオピニオンの判断基準
目安となるのは、「症状に変化があるか」「同じ治療内容が繰り返されていないか」という2点です。湿布や同じ鎮痛薬だけで3ヶ月経ち、生活への支障が残っている場合は、痛みの原因評価をもう一段深めるタイミングといえるでしょう。まずは主治医に、痛みの性質・時間帯・楽になる姿勢・生活への影響を具体的に伝え直してみてください。それでも方針が変わらず、新しい検査や治療の選択肢が示されないようであれば、ペインクリニック内科などへのセカンドオピニオンも選択肢のひとつです。
紹介状なしでの転院や、再度の精密検査にかかる費用と保険のルール
200床以上の大病院を紹介状なしで受診する場合、選定療養費(数千円程度)が別途かかることがあります。一方、クリニックや中小規模の病院なら、紹介状がなくても通常の初診料で受診可能です。MRIなどの精密検査は、症状や経過に医学的な必要性があれば保険適用で再検査できますが、短期間に同じ部位を繰り返し撮影する場合は保険上の制限がかかることもあります。前回の検査データ(ディスクやフィルム)を持参いただくと、無駄な再検査を避けやすくなります。
3ヶ月の節目でチェック!次の受診を検討したい「注意したいサイン」
慢性腰痛の多くは命に関わるものではありませんが、ごく一部に注意が必要な病気が隠れているケースもあります。3ヶ月という節目に、以下のサインがないかを一度確認しておきましょう。
早めの精密検査が推奨される「レッドフラッグ(注意したい兆候)」とは
次のような症状は「レッドフラッグ」と呼ばれ、早めの精密検査が推奨されます。
- 足のしびれや脱力が進行している
- 排尿・排便のコントロールがしにくい(尿失禁・尿が出にくいなど)
- 安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める
- 発熱を伴う、体重が急に減っている
- がんの既往がある、ステロイドを長期使用している
これらは椎間板ヘルニアによる神経圧迫、感染症、腫瘍性病変、内科的疾患などが背景にある可能性を示唆します。当てはまる項目があれば、様子見をせず速やかに医療機関へご相談ください。
新たな痺れや痛む範囲の拡大が見られたときの対応タイミング
3ヶ月経過した時点で、当初は腰だけだった痛みが、お尻・太もも・ふくらはぎ・足先へと広がってきたときは、神経根が刺激されているサインかもしれません。片脚だけに走るような痛みやしびれ、長く歩くとしびれて休むと楽になる(間欠性跛行)といった変化は、脊柱管狭窄症などが疑われる所見です。数週間以内に症状の変化を感じたら、初回の検査から時間が経っていても、改めてMRIなどの画像評価を検討する価値があります。
慢性的な腰痛を和らげるセルフケアと注意したい行動
医療機関での評価と並行して、日常生活での過ごし方も痛みの経過に大きく影響します。ここでは、慢性腰痛と付き合ううえで押さえておきたい基本的な考え方をご紹介します。
安静にしすぎは逆効果?日常生活で取り入れたいストレッチと軽い運動
かつては「腰痛には安静」といわれてきましたが、今では過度な安静はかえって回復を遅らせることが分かっています。無理のない範囲でのウォーキング、股関節や体幹の軽いストレッチ、痛みが強くない時間帯の家事動作の継続などが推奨されています。ウォーキングは腰痛の再発予防にも有用と報告されており、1日20〜30分を目安に、痛みが増えない範囲で続けてみてください。
自己流の強すぎるストレッチや、放置による慢性化を避けるために
痛みがあるときに、動画やSNSを参考に強い反り返りや無理なひねりを加えると、症状が悪化することがあります。「そのうち落ち着くはず」と3ヶ月以上放置してしまうことも、神経感作を進める要因になりかねません。まずは医師の診察で原因の見立てを整理し、自分に合ったケアを選ぶことが慢性化を避ける近道です。 東海市周辺で腰痛にお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
参考文献
1. Smith RJ, Bryant RG. Metal substitutions in carbonic anhydrase: a halide ion probe study. Biochemical and biophysical research communications. 1975. PMID: 3. DOI: 10.1016/0006-291x(75)90498-2
よくある質問
Q1. MRIで異常なしと言われましたが、腰痛の原因は何が考えられますか?
A. 筋筋膜性疼痛、仙腸関節や椎間関節の機能障害、神経感作による慢性痛など、画像に映りにくい原因が考えられます。機能面からの評価が有用な場合もありますので、痛みの専門外来へのご相談を検討してみてください。
Q2. 腰の痛みが3ヶ月続くのはなぜですか?
A. 3ヶ月以上続く腰痛は「慢性腰痛」に分類され、神経系が痛みに過敏になる神経感作や、心理・社会的要因、生活習慣なども複合的に関与していると考えられています。
Q3. 腰の痛みがずっと続いていたら何科を受診すればよいですか?
A. まずは整形外科で構造的な変化の有無を確認し、異常がない、または改善しない場合はペインクリニック内科へのご相談が選択肢となります。しびれや排尿障害があるときは、早めの受診をおすすめします。
Q4. 整形外科で異常なしと言われても痛いのはなぜですか?
A. レントゲンやMRIは骨や椎間板などの構造を評価するもので、筋肉や細い神経、機能的な問題は捉えにくいためです。「異常なし」は「重篤な構造的疾患が確認されなかった」という意味合いに近く、痛みが存在しないことを示すものではありません。
Q5. 別の病院で再度MRIを受けることは可能ですか?
A. 症状の変化など医学的な必要性があれば、保険適用で再検査が可能です。前回の画像データを持参いただくと、より的確な判断につながります。
藤田保健衛生大学 麻酔・周術期管理医学講座
大同病院 麻酔科部長を経て、2023年うえの台いたみと内科のクリニック開設
上記の他に、日本ペインクリニック学会指定研修施設、内科・小児科・皮膚科・ペインクリニック医院に非常勤医師として勤務
日本専門医機構認定 麻酔科専門医
日本麻酔科学会認定 麻酔科指導医
厚生労働省 麻酔科標榜許可(麻酔科標榜医)
厚生労働省 緩和ケア研修修了医
日本臨床栄養代謝学会 TNT研修修了医
臨床研修指導医
【所属学会】
日本麻酔科学会
日本臨床麻酔学会
日本ペインクリニック学会
日本疼痛漢方研究会
日本臨床栄養代謝学会
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